日本最後のもくめん屋が、精油抽出事業をはじめた理由①

日本最後のもくめん屋が、精油抽出事業をはじめた理由①

皆さま、こんにちは。戸田商行代表の戸田実知子です。
今回のブログでは、少し真面目な内容を。

2022年1月より、精油抽出事業を開始しました。

精油(エッセンシャルオイル)とは、植物の花や葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質です。
特有の香りを楽しんだり、アロマテラピーの基本となるもので、心身への作用があります。

2016年頃、高知県産ヒノキの葉を原材料とした精油に出逢います。
その頃の私は、会社の経営と子育てや家事の両立で時間に追われ、とても疲れていました。そんな時にふと手に取ったのがヒノキ葉の精油の持つ、爽やかで、奥深い香りは私の心をとても癒してくれました。

木毛(もくめん)の原材料としてヒノキの木材を扱っていはいましたが、ヒノキ葉の精油の香りがこんなにも体に馴染み、心を落ち着かせてくれるのか…
木毛作りを通じて木の力を知っているつもりでしたが、自然が作る本物の持つ力を改めて感じました。

「ヒノキ葉の精油をもっと人々に知ってもらいたい」

良いと思ったものを人様にお薦めしたい!という人間の持つ本能の発動です。
私は、早速その精油を購入し、自社で販売することにしました。

■ヒノキ葉そのものの香りのプレーンタイプ
■一日の始まり気分を上げるレモングラスとのブレンドオイル
■そして、健やかな眠りにいざなうラベンダーとのブレンドオイル

「自分が使って心地よいもの」をコンセプトに3種類のオイルを発売することになります。

精油は自社サイトや店舗、ふるさと納税などで販売。
高知の大地の力を持った精油には、リピーターの方も現れご好評をいただきます。

3年ほど経過した頃、自分の手で精油を蒸留したいという気持ちが湧き上がってきました。

なぜか?

仕入れ先の生産現場を見学に行った時でした。
作るものは違えど、同じ製造業として自分達のもの作りとは違うという感覚がありました。
自分達の手で素材選びから、生産管理まで行いたい。
つまりは製造の全てをハンドリングし、とことん納得のいくものを作り、届けたい。
そんな気持ちを抑えきれなくなりました。

そんなタイミングで、コロナウイルスが世界を席巻し、パンデミックが起こります。
世界のサプライチェーンが分断され、物流は停滞し、人とのコミュニケーションも取れない世の中になりました。

弊社も売上げが低迷し、2020年は年間30日の休業を余儀なくされる、大変厳しい状況となります。
弊社だけではなく、傷ついた会社はたくさんありましたが、木毛製造のみに頼っていた脆さの現れとも取れました。木毛を中心に据えつつも、以前より新しいビジネスを始めるチャンスを探ってはいましたが、忸怩たる思いでした。

そんなタイミングで、新型コロナウイルスの影響でダメージを受けた事業者に対して、新しい事業に参入するための大型の補助金が発出されることになります。

私はこれだ!と思いました。

コロナを、そしてこの補助金をチャンスに、精油抽出事業に参入しよう。
密かに、精油抽出事業の腹案を温めていた私は、迷いなく応募をしました。
その後は、事業計画書作りなどの支援をいただきながら、苦労の末無事採択をいただき、事業の開始をする運びとなりました。

続く

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