桧のエッセンシャルオイルは、私にとって精油抽出ビジネスを始めるきっかけとなった、特別なオイルです。
けれども、それと同じくらい大切にしているのが、杉のエッセンシャルオイルです。
花粉症の出現から、杉は「迷惑な木」というイメージが定着してしまいました。

けれども杉の木は、もともと日本の暮らしの中で、とても身近で、大切にされてきた存在です。
家の柱や梁として使われ、まっすぐに伸びるその姿は、日本の風景そのもの。
軽くて扱いやすく、香りもよい。
長い時間をかけて、日本の暮らしを支えてきた木です。
精油抽出事業を始めるにあたり、杉の産地の熊本を訪れた時、杉が整然と並ぶ凛とした森の美しさに感動したことがあります。
まっすぐに伸びる杉の木々。
どこか背筋が伸びるような、それでいて心が落ち着いていくような感覚でした。
桧の精油をつくったあと、今度は凛とした杉の香りに挑戦したい。
そんな想いで、蒸留担当部長とともに開発を始めました。
試作した杉葉の香りは、想像していた香りとは違うとてもフレッシュなオイルでした。甘いなかにも、森の余韻がある良い香り。
派手ではないけれど、ずっとそばに置いておきたくなるような、やさしくて奥行きのある香りでした。
これは、何としても製品化したい!
そう思った瞬間でした。

蒸留しているとき、工場の中は、まるで森の中にいるような香りに包まれます。
あの熊本の森で感じた空気と、重なる瞬間があります。
自然の中で感じたものを、どうやってそのまま届けるか。
その試行錯誤の中で、杉のエッセンシャルオイルは少しずつ形になっていきました。
杉は、花粉のイメージだけで語られるには、あまりにも惜しい木です。
静かで、まっすぐで、人の暮らしに寄り添ってきた存在。
その魅力を、香りというかたちで、もう一度届けていきたいと思っています。
桧が「きっかけ」だったとしたら、杉は「続けていく理由」。
そう言えるほど、私にとって大切なオイルです。
杉の香りを、日常に
この杉のエッセンシャルオイルは、特別な使い方をしなくても大丈夫です。
たとえば、
・夜、眠る前に1滴たらして深呼吸する
・仕事の合間に、気持ちを整える
・玄関やお部屋に、そっと香らせる
それだけで、呼吸が少し深くなり、気持ちがすっと落ち着いていくのを感じていただけると思います。

強く主張する香りではないけれど、気づいたときには、そばにある。
そんな、静かな存在です。
私たちがつくっているのは、単なる「オイル」ではありません。
森で感じた空気、木の香り、その場に流れていた時間。
それらを、できるだけそのまま、日常の中に届けたいと思っています。もしよろしければ、一度この杉の香りを体験してみてください。
きっと、杉に対する印象が少し変わるはずです。